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論文発表した研究

超新星からの超高エネルギーγ線放射
SN1987Aの中心で、パルサー活動性などによる陽子の加速機構が存在すると、 膨張するejecta中の陽子(水素原子核)と反応し、超高エネルギーγ線が放射さ れることが予想される。パルサー活動性をパラメーターにして、超高エネルギー γ線の見え方を予想し、それを当時計画されていたJANZOS collaboration(※) の観測結果と比較することにより、SN1987Aの中心のパルサー活動性に対する 制限を与えることができる。

p+p → π+π+π0 → 2 γ

(共同研究者: 佐藤文隆, 中村卓史, 笠原克昌, 1987-1988)

超新星エジェクタの流体力学的不安定性
SN1987Aのejecta中では、物質混合が起こっていることを示唆する観測結果が ある。このため、超新星ejecta中でのRayleigh - Taylor 不安定性の、2次元3 次元シミュレーションによる解析を行ない, どの様な条件でejecta中での物質 混合が起こるかを調べ, X線γ線放射の数値的予測と観測データを比較した。

(共同研究者: 吉田龍夫, 田光江, 佐藤文隆, 中村卓史, 大原謙一, 1988-1990)

力学系
楕円銀河の構造は, 3軸不等ポテンシャル中での一体軌道の重ね合わせがポテ ンシャルと無矛盾に構成できるような解を探すことで議論することができる (Schwartzschild)。しかし, この時に使う一体軌道の解が不安定だと, 楕円銀 河の安定した構造を形成できない。そこで, 3軸不等ポテンシャル中での軌道 安定性について解析した。

(共同研究者: 郷田直輝, 土屋俊夫, 1990-1993)

流体数値計算法
流体の差分法において, 適合格子計算法の改良を試みた。従来多くの研究者が 利用してきた方法は, ショックが発生するような問題では十分な制度を与えな い。時間発展アルゴリズムを改良することで, 十分な数値精度が得られること を示した。

(共同研究者: 山下和之 1992-, 宮下尚, 1998-)


その他現在興味を持っているテーマ

流体力学のcriticalな現象
熱流入りの流体現象について, 有限時間で"ショック"が起こるかどうかは興味 深い問題である。適合格子計算法を用いてこの問題に挑む予定である。

(共同研究者: 藤定義, 松本剛, 宮下尚, 2000-)

Astrometry
HIPPARCOS衛星(※)のデータがavailableになり, 我々の銀河の構造について, あるいは宇宙論的なパラメーターの決定についての重要な示唆を与えるデータ と認識され始めている。しかし, データ解析の方法は十分に確立されたとはい えず, 統計データ処理の手法をさまざまな角度から検討することが, 次の衛星 の計画を建てるのに重要である。

(共同研究者: 郷田直輝, 辻本, 矢野, 2000-)


論文発表に至らなかった研究

銀河形成の数値的研究
計算機の進歩により, 宇宙論的初期揺らぎから銀河が形成するところまでの数 値的なシミュレーションが可能となった。日本でもその研究を行なうべく研究 を開始した。しかし, 私は不十分な精度での数値計算で満足できずより高度な コード開発をめざし, 早く結果の出る仕事をしたと考える他の研究者と折り合 いがつかず, 中断した。諸外国では, 10名から20名のチームを作って, あるい は天文研究者は数名でも航空工学など他分野の数値計算の専門家の共同研究を 進めながら, この手の研究を行なっている。現在, この分野は流体と重力だけ でなく化学反応, 輻射輸送を厳密に採り入れた計算が行なわれるようになり, 現段階からの新規参入は難しい状況にある。

(1995-)

銀河団における希薄流体の効果
銀河団ガスは非常に希薄であり, 平均自由行程は銀河団サイズの数分の一に達 する。このようなガスの塊は, 希薄流体としての効果が効いて, 通常のガスと はことなる振舞をすることが予想される。そこで, 希薄流体のシミュレーショ ンを行なって観測事実と比較する研究を試みた。しかし, 実際の銀河団では磁 場が存在し, 磁場と粒子の相互作用が実質的な平均自由行程を短くしてしまう。 このため, 十分良い近似でMHDが成立する。この事情は, 例えば地球磁気圏な どでも知られている。惑星間空間のガスの平均自由行程は地球サイズに匹敵し, 本来は希薄流体として扱うべき領域だが, MHD近似が十分に良いことが衛星な どの観測から知られており, これは磁場の場と粒子の相互作用によるものと解 釈されている。

(共同研究者: 藤田裕, 1997-1998)


JANZOS Collaboration
Japan Austraria New Zeeland Observation of Supernova Collaboration Spokesman 佐藤文隆京都大学教授。New Zeelandのブラックバーチにて、 SN1987Aからの超高エネルギーγ線を観測するプロジェクト。日本側は、宇宙 線研究所のメンバーが中心に参加。高エネルギー研究所も関与している。

HIPPARCOS
ヨーロッパで位置天文観測のために1988年に打ち上げられた衛星。High Precision Parallax Collecting Satelliteの略。観測は1993年まで行なわれ, 1998年末ころにデータがオープンになった。