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教育活動

私は, 超新星の研究においてその数値計算の能力が買われ, 物理教室で助手に 採用された。当該研究室では, そういう分野に貢献することがもとめらていた。 当時, 日本はスーパーコンピューター(いわゆるベクトルコンピューター)でハー ドウエアでは世界最高水準にあり, 日本の研究者も多くの良い仕事をしていた。 しかし, その状況は, 「ハードウエアの高水準に甘んじて」と言わざるを得な いと, 当時から私は考えていた。

当時, 欧米では何が行なわれていたかというと, 日本との違いは三点あげられ る。

しかし, 数値計算を道具として研究をすすめてゆく場合, そういう分野を日本 に着実に根付かせてゆくことが大切である。我々の教室が採用している 「general education」とは, 大学院に入っても広く(理論)物理全体を学び, 緩やかに専門化してゆくというものである。大学院性は, 修士一年の間, 専門 の分野に触れることは許されない。いまでは多くの研究グループはこの伝統を 守っていないが, 我々の研究室では修士一年の前半に関してはやはり一般的な 物理の勉強をすることが推奨されている。この考えを変えるることは難しい。

では, 数値計算法やソフトウエア工学的な技術教育はどの段階で行なわれるの が良いか。general educationをいじらないとすれば, 学部教育に関与するし かない。これが, 私が真面目にBIRD net構築に取り 組んだ理由である。BIRD netでは, 学生が自由に使える計算機を用意すること で, Free softwareの開発も加速されたという副産物があった。

残念なことか幸運なことか分からないが, この時期計算機・ネットワーク事情 は大いに変化した。当時, すでに予算の研究所への集中は始まっていた。一大 学の一分野が大きな計算機を導入するのは不可能である。大学の計算センター は, 負担金が高価で運用上の制限もきつく, 使いにくい。遠方の研究所のコン ピューターを自由に使いこなして仕事をしてゆくことが必要であり, そのため にはネットワークを整備してゆくことも, 研究環境整備の意味で重要であるが, ネットワーク技術は日進月歩で, 常に新しいことを勉強する必要があるし, 敷 設したネットワークは関係者の努力にも関わらずなかなか安定してくれない。

しかし, 物理教室の計算機・ネットワークに関わって10年, ヘビーな計算機利 用のためのネットワークから, 初心ユーザーのメールやWebなどというプロバ イダー的な要求が強くなってゆく。大学が社会にどう貢献したかと言うことが しきりに言われるようになり, 私も一言言っておきたい。大学で黎明期にネッ トワークを管理してきた多くの人材(私も含めて)こそが, 「プロバイダー」と いう仕事がビジネスになる段階まで持っていったのである。「新たな業種を作 る」ことは, 最大の社会への貢献ではないだろうか。利用形態が変わり, 技官 採用を要求し続けたが, これにも5年以上の歳月を費やしたのは, 大学と言う 組織の硬直性を物語っている。

「チームでの研究」というのは, やはり日本の理論物理では未だに受け入れら れていない。やむを得ず, 私は別のグループの大学院生と共同して適合格子計 算のコード開発をやり遂げた。つまり, そういうことができる学生なりスタッ フは, 同じ分野ということに拘っていては得られないと言うことである。外国 では10名から20名のチームを作って2-3年で仕事をしているようだが, 我々の ところでは最初に始めてからは10年近い歳月がかかっている。1998年から, 有 能な共同研究者を得て約3年, 今ではこのコードは世界最高水準に達している と自負している。